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2024.01.02

新春 大般若会祈祷

本日は午後2時から「新春大般若会祈祷」が御座いました。

 

いつもは4、5名のご参加者ですが今年は12名もお集まりくださりました。

福厳寺の寺宝である約350年伝わる「大般若経600巻」を皆さんに転読して頂きます。

 

大きな声で、「降伏一切大魔最勝成就」と唱えて頂き、大般若経の強い力と共に1年の無病息災を祈念します。

 

 

ご参加の皆さんには、「般若札(はんにゃふだ)」をお守りにお持ち帰りいただきます。ご自宅の玄関、お仏壇にお供えいただきます。

 

さて、「かまくら春秋」2024年1月号が届きました。

連載させていただいている「建長僧堂 雲水ものがたり」は今回が最終回「10」です。

尊敬申し上げる著名な執筆陣方々とともに、表紙に名を連ねさせて頂き有難う御座いました。

1月号のタイトルは「読経~般若札~」です。

編集の方も、その月に相応しい内容を選び載せて下さりました。

 

次に、今回の文章を掲載いたします。

 

建長僧堂 雲水物語 

『読経~般若札~』    

 声を出して経文を読むことが「読経」ですが、その功徳は計り知れず大きいものがあります。

 

お経は当然書かれている意味内容を一言一句理解することも大切ですが、とにかく、一生懸命に腹の底から大きな声を出して読経することが僧堂では求められます。

 

 午前三時、まだ月明かりに照らされる世界ですが僧堂の本堂では老師と共に雲水が集まり朝課(朝の諷経(ふぎん))が始まります。背筋を伸ばし結跏趺坐(けっかふざ)をしながら腹の底から声を出す読経は、夏も冬も関係なく全身熱くなり寒さを感じません。

 

 或る大学の教授が職種別の平均寿命を調べた結果、お坊さんは断トツの一位だったそうです。その理由はお釈迦様の大切な教えを説く経典や、音そのもので仏様の大慈悲心を伝える祈りの真言を毎日腹の底から心を込めて読経する功徳に拠るものだと、私は確信しています。

 

 向こうの山までお経が届くように息を吐き切って声を出す。僧堂に入門したばかりの新到(しんとう)は、毎日朝昼晩の読経で声がガラガラですが、そうして僧侶としての声を作っていきます。いつの間にか、長時間の読経にも耐えられるようになり、人々を導き、亡き人が居る奥山まで読経が届くように、しっかり身に付けていくのです。

 

 僧堂では正月三箇日(さんがにち)に旧年の過ちを反省し、新年の天下泰平・厄災消除・五穀豊穣などを祈願する大般若会を雲水総出で行います。

 大般若経六百巻をそれぞれ分配して「大般若波羅蜜多経巻第○○唐三蔵法師玄奘奉詔訳(とうのさんぞうほうしげんじょうぶじょうやく)!」と唱えて左右前後に転読し、再び満身の力を込めて「降伏(一切大魔最勝成就(ごうぶくいっさいだいまさいしょうじょうじゅ)!」と唱え、一巻ごとにこれを続けます。

 旧年の内に雲水が心を込めて作り上げた般若札を、この時老師が厳かに薫じます。

そして正月四日から始まる年始のご挨拶の際、この祈念した般若札をお配り致します。

 

新年を迎えることが出来た有難さに感謝し、般若札の功徳が具(そな)わり、どうかこの一年が良い年でありますように。

 

 

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