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2021.07.10

『生きていこうと思います・・・』

流行病に東京オリンピックとで大騒ぎですが今年(令和三年)はちょうど震災十年です。

先般足利仏教会特別講演会の講師として曹洞宗宝林寺住職,東北福祉大学学長の千葉公慈老師が御来足下さりました。 

 

講演会の冒頭に千葉老師もお話しくださった話をお伝えします 

 

千葉老師と私はテレビで共演したご縁から、平成29年に仙台仏教会様が主催された東日本大震災七回忌大法要にテレビ朝日で放送されていた「ぶっちゃけ寺」メンバーとして京都の杉若和尚様(日蓮宗)と三人で招待して頂き、共に参加した時がありました。 

 その際に、驚きの光景を目にしました。

その七回忌法要には、仙台市内の僧侶の方々と被災されて親しい人を亡くしたご遺族たちが多く集まっておりました。法要は当然ながら非常に丁寧に行われ参列者のご焼香が途切れずに、一時間以上二時間近くお経が続いて唱えられていました。私たちも懸命に読経しておりましたが、最前列に座っておられた一人の若い女性に気が付きました。 

 

その方は、法要中ずっと泣き続けておりました。その泣き方も、声も肩も震わせながら時には声を上げて、ひたすら泣き通しだったのです。その光景は、千葉老師も私にとっても大きな衝撃でした。涙には限りがないことを思い知ったのでした。 

 

 法要の後、会場となった寺院のご住職様に伺ったところ、その方は子供を二人津波で亡くされたとわかりました。まる六年を経ても、子供を亡くした悲しみは非常に深く、決して消えるものではないと痛感致しました。 

 

 しかし、さらに驚いたことがありました。その方は法要の後私たちにお礼を述べに来て下さった時の表情が実に明るい笑顔だったのです。 

 

その女性は,「この七年間、何をしていいかわからなかった。何も出来なかった。でも、お経を聞いて観音様におすがりしたら、何かスッキリしましたと仰ったのです。 

 その他にも、やっと泣けたという人たちがおられました。 

 

「悲しいときは泣けばよい、涙は君の心を洗う」とは言いますが、泣けないほどの悲しみがのあるのだと思い知り、涙には、自分を癒す力があるのだと感じられました。 

 

その方は帰り際に、

「元気がでました、生きていこうと思います」と明るいお声で伝えて下さいました。その時の表情も,鮮明に覚えており非常に印象深い思い出であります 

 

なみだをこらえて    かなしみにたえるとき

 
ぐちをいわずに     くるしみにたえるとき 

 

いいわけをしないで    だまって批判にたえるとき

 
いかりをおさえて     じっと屈辱にたえるとき

 
あなたの眼のいろが    ふかくなり

 
いのちの根が       ふかくなる 

 

足利出身の詩人 相田みつをさんのいのちの根」という詩です。 

あの7回忌法要でやっと泣けたと,号泣していた方が,今年震災十年を迎えてどのように過ごしているかと思いました。 

きっと,いのちの根がぐっと深くなられて,現在のコロナ禍でも力強く生活しておられるだろうと確信にも似た思いがします。 

 

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